2009.04.16 Thursday
中村敬治『現代美術巷談 その後』
美術批評家、故中村敬治さんの遺著『現代美術巷談 その後』(水声社、2000円+税)が出版されました。
中村さんが、『現代美術巷談』を2004年6月に出して以後、2005年3月に亡くなられるまでの文章が収められています。
その中に、『美術手帖』2004年6月号に掲載された、河合政之についての批評「可愛げのない河合の神学」が再掲されています。
「河合の作品は描写しようとはしない。煽動するだけである。身辺を叙述するのではなく、身辺がおかれている構造を可視化しようとする。」(抜粋)
また、亡くなる直前、2004年後半の日記が掲載されていますが、その中で中村さんは、河合がトーキョーワンダーサイト本郷でおこなった個展「不在者を観ることについて」に関して言及されています。
「神をとりのけた Bill Viola。河合には神はない。ない神を探すふりだけをしてみせる。意味をもってはいけない映像。神なんてどうせ見つからないのだから。」(抜粋)
ご存命中は私や仲間たちの企画する小さなイベント等にも足を運んでくださり、日本ではあまり評価されない私たちの活動にも、細やかな関心と理解を持って頂けた数少ない方のお一人でした。
日記の文章などに書かれていることからも、短い言葉ながら、非常に鋭い感覚で、しっかりと作品を見て頂いていたことが感じられ、感に堪えません。
私は2005年当時文化庁による派遣先のNYで、中村さんの訃報に少し遅れて人づてに接しました。その前日本でお会いしたときは、お元気そうに「これからまたいろいろやる気になってきたから、よろしくな」とおっしゃっていたので、大変ショックを受けたことを思い出します。
謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。
中村さんが、『現代美術巷談』を2004年6月に出して以後、2005年3月に亡くなられるまでの文章が収められています。
その中に、『美術手帖』2004年6月号に掲載された、河合政之についての批評「可愛げのない河合の神学」が再掲されています。
「河合の作品は描写しようとはしない。煽動するだけである。身辺を叙述するのではなく、身辺がおかれている構造を可視化しようとする。」(抜粋)
また、亡くなる直前、2004年後半の日記が掲載されていますが、その中で中村さんは、河合がトーキョーワンダーサイト本郷でおこなった個展「不在者を観ることについて」に関して言及されています。
「神をとりのけた Bill Viola。河合には神はない。ない神を探すふりだけをしてみせる。意味をもってはいけない映像。神なんてどうせ見つからないのだから。」(抜粋)
ご存命中は私や仲間たちの企画する小さなイベント等にも足を運んでくださり、日本ではあまり評価されない私たちの活動にも、細やかな関心と理解を持って頂けた数少ない方のお一人でした。
日記の文章などに書かれていることからも、短い言葉ながら、非常に鋭い感覚で、しっかりと作品を見て頂いていたことが感じられ、感に堪えません。
私は2005年当時文化庁による派遣先のNYで、中村さんの訃報に少し遅れて人づてに接しました。その前日本でお会いしたときは、お元気そうに「これからまたいろいろやる気になってきたから、よろしくな」とおっしゃっていたので、大変ショックを受けたことを思い出します。
謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。